無料の刺繍データ作成ソフトはある?
あります。ただし、無料で制限なく刺繍データを作れるのは1つだけです。Windows、macOS、Linuxで動くInkscape用のオープンソース拡張機能、Ink/Stitchです。画像を自動で変換する機能はありません。そのほかの「無料」の選択肢は、体験版、文字入れ専用ツール、有料アップグレードのあるアプリで、無料版では保存、自動変換、またはその両方が制限されています。
無料の刺繍データ作成ソフトを探すとよく見つかる6つの選択肢を、当社のツールも含めて比較しました。以下の価格、対応OS、機能は、2026年10月に各社のウェブサイトで確認したもので、リンクは末尾の「出典」に掲載しています。価格は変わることがあるので、購入前に各社のページを確認してください。メーカーのサイトに記載がない点は、推測せずに「記載なし」としています。
お断りしておくと、StitchMyPicは当社の製品で、ステッチエンジンの一部はInk/Stitchから移植したものです。当社のツールも含め、すべての選択肢を同じ基準で説明するよう心がけました。
無料・低価格の刺繍データ作成ソフト比較
下の表では、無料で使える範囲、有料版の価格、画像を自動でステッチに変換できるかどうかをまとめています。
| ソフト | 価格 | 対応環境 | 画像を自動変換できる? | ミシン用形式 | 習得の難しさ |
|---|---|---|---|---|---|
| Ink/Stitch | 無料、オープンソース(GPL v3) | Windows、macOS、Linux(Inkscapeが必要) | いいえ:形のトレースと設定は自分で行う | DST、EXP、JEF、PES、VP3、XXXなどを書き出し | 難しい |
| Embrilliance Express | 無料。Essentialsは$159、刺繍データ作成用のStitchArtistは$179から(定価) | Windows、macOS | いいえ | BXフォントで作った文字と.BEファイルをミシン用形式で保存 | 簡単。ただし文字入れのみ |
| SewArt | 30日間の無料デモ、その後$75 | Windows(macOSはエミュレーター経由のみ) | はい | PES、DST、JEF、EXP、HUS、VIP、VP3、XXX | 中程度(ウィザードと画像ツールあり) |
| Hatch Embroidery 4 | 30日間の無料体験版(書き出し30回まで)、その後$199〜$1,199 | Windows 11のみ | はい、Composer($699)とDigitizer($1,199)で | 「ほとんどのミシン用形式」(全リストは記載なし) | 中程度〜難しい |
| ブラザー Artspira | 無料アプリ。Artspira+は月額$12.99または年額$119.99 | iOS、Android | Artspira+のみ(写真からの刺繍データ作成) | 対応するブラザーの無線LANミシンへ送信。ファイル保存は記載なし | 簡単 |
| StitchMyPic | プレビューは無料。ダウンロードは1デザイン$4.99、パックやプランならさらにお得 | ウェブブラウザ(パソコン、タブレット、スマホ) | はい | すべてのダウンロードにPES、DST、JEF、EXP | 簡単 |
「習得の難しさ」は、各ツールが刺繍データ作成のどれだけをユーザーに任せるかに基づく、当社独自の評価です。以下のセクションで、それぞれの選択肢を詳しく説明します。
Ink/Stitch:唯一の完全無料の刺繍データ作成ソフト
Ink/Stitchは、無料のベクター描画ソフトInkscape用の、無料・オープンソースの刺繍拡張機能で、GNU GPLバージョン3で公開されています。Windows、macOS、Linuxで動作し、PES、DST、JEF、EXP、VP3、XXXなどの主要なミシン用形式を、料金も制限もなく書き出せます。
難点は、自分自身がパンチャーになることです。デザインはベクター形式である必要があるため、画像はまずトレースし(InkscapeのTrace Bitmapが一般的な出発点です)、それから整えます。トレースした形は刺繍には小さすぎたり細切れだったりすることが多いからです。そのうえで、形ごとにサテン縫い、タタミ縫い、ランニングステッチのどれにするかを選び、パラメーターを設定します。Ink/Stitchにはサテンやランニングステッチの経路を決める便利な自動ツールがありますが、これはベクターの形に対して働くもので、写真には使えません。
こんな方におすすめ:刺繍データ作成をきちんと学びたい方、すべてのステッチを自分で制御したい方、デザインの編集や組み合わせに無料ツールを使いたい方。StitchMyPicのエンジンの一部のベースになっているのと同じオープンソースプロジェクトなので、その実力はよく知っています。
Embrilliance Express:無料だが文字入れ用
Embrilliance Expressは、Windows・macOS用のEmbrillianceソフトの無料モードです。メーカーによると、EmbrillianceのBXフォントで文字や名前を入力し、.BEファイルを開いてミシン用形式で保存できます。汎用のデザイン編集ソフトではなく、刺繍データを作成する機能もありません。
有料製品はこれをベースにしています。Essentials(定価$159)では、デザインの結合、ステッチを再計算するサイズ変更、色の変更が加わり、PES、DST、JEF、EXPなど多くの形式で保存できます。刺繍データ作成モジュールのStitchArtistは3つのレベルがあり、定価は$179、$389、$699です。Embrillianceは、StitchArtistが写真からステッチへの変換や自動変換を行うソフトではないと明言しています。画像を読み込み、その上にステッチを描いていく方式です。
こんな方におすすめ:主にBXフォントで名前やモノグラムを入れたい方、Macで手頃な価格かつサポートの充実した手動の刺繍データ作成をしたい方。
SewArt:30日間のデモ付きの自動変換ソフト
S & S ComputingのSewArtは、自動と手動の両方の刺繍データ作成に対応したWindows用ソフトです。ラスター画像(JPG、PNG、BMP、GIF、TIF)とベクターファイル(SVG、EMF、WMF)を変換でき、画像処理ツールとステップごとのウィザードを備えています。PES、DST、JEF、EXP、HUS、VIP、VP3、XXXで保存できます。
30日間の無料デモがあり、製品版はダウンロードで$75、生涯無料のアップデート付きです。メーカーは、デモ期間中にアップデートすると体験期間がただちに終了すると注意しています。確認したメーカーのページには、デモでファイルを保存できるかどうかの記載はありません。Macの場合はCrossOverなどのエミュレーターが必要です。
こんな方におすすめ:Windowsを使っていて、自分のパソコンで自動変換をしたく、買い切りの価格を好む方。
Hatch Embroidery:プロ向けソフトを丸ごと体験できる
Hatch Embroidery 4はWilcom製で、Organizer($199)、Personalizer($299)、Composer($699)、Digitizer($1,199)の4つのレベルがあり、いずれも米ドルでの買い切りです。無料体験版は30日間で、クレジットカード不要、4つのレベルすべてを含み、書き出せるデザインは30件までです。
写真やイラストの自動変換は、ComposerとDigitizerにのみ含まれます。Hatchはほとんどのミシン用形式に対応しているとしています。Windows専用でWindows 11が必要です。Hatchによると、Appleシリコン搭載のMacではParallels経由で動作します。
こんな方におすすめ:Windowsで定期的に刺繍データを作り、自動変換とプロ向けの編集ツールの両方がほしい方。価格に見合うほど使うかどうかを見極めるには、体験版がちょうどよい方法です。
ブラザー Artspira:ブラザーのミシン用のスマホアプリ
Artspiraは、ブラザー(Brother)のiOS・Android用の無料アプリです。SE700、SE2000、PE900、NQ1700Eなど無線LAN搭載のブラザーのミシンで使え、USBメモリなしでデザインをミシンに送れます。PES、PHC、PHX、DSTファイルを開けます。
無料版には基本的な刺繍描画ツールが含まれます。写真からの刺繍データ作成やAIによる画像加工はArtspira+の機能で、米国では月額$12.99または年額$119.99、新規登録者は最初の1か月が無料です。ブラザーのFAQによると、Artspira+で作成したデザインは、解約後は再びミシンに転送できません。確認したページには、刺繍データをパソコンに保存できるかどうかの記載はありません。
こんな方におすすめ:対応するブラザーの無線LANミシンを持っていて、スマホで作業したい方。
StitchMyPic:プレビューは無料、ダウンロードは有料
StitchMyPicは無料のソフトではありません。そのことははっきりお伝えしておきます。パソコン、タブレット、スマホのウェブブラウザで動作し、インストールは不要です。PNG、JPG、WEBP、SVGをアップロードすると、画像を自動で変換します。減色、形ごとのサテン縫い・タタミ縫い・ランニングステッチの選択、下縫い、縮み補正、縫い順の計画までを行います。ステッチプレビューは無料で、アカウントなしで試せます。
デザインのダウンロードは1クレジットです。1クレジットは$4.99で、パックや月額プランなら1デザインあたりの価格が下がります(料金)。新規アカウントには無料クレジットが1つ付きます。すべてのダウンロードはPES、DST、JEF、EXPを含むZIPで、7日間は同じデザインを別のサイズで再書き出しできます。
自動変換のためのツールで、ステッチを1つずつ編集するためのものではありません。ロゴ、文字、フラットなイラストに最も向いています。細かいイラストや写真には、パンチャーや本格的なソフトのほうが細かく制御できます。
どれを選べばいい?
お金と時間、どちらをかけたいかによります。
- 予算はないが、学ぶ時間はある:Ink/Stitch。制限なく無料ですが、刺繍データ作成は自分で行います。
- 名前とモノグラムだけ:BXフォントを使ったEmbrilliance Express。
- 自分のWindowsパソコンで自動変換したい:SewArtのデモかHatchの体験版を試し、価格に見合うかを判断しましょう。
- ブラザーの無線LANミシンとスマホがある:Artspira。写真から作るならArtspira+。
- ロゴやイラストから、インストールなしで数分でデータがほしい:StitchMyPicのような、デザインごとに支払うオンラインツール。
- 複雑なデザインや量産:プロのパンチャー。各方法の費用と時間は画像を刺繍データに変換する方法で比較しています。
どれを選んでも、準備は同じです。きれいな画像、少ない色数、刺繍枠に合ったサイズ、そして試し縫い。最初のステップには刺繍に向いている画像のガイドが役立ちます。
このテーマに関するよくある質問
Ink/Stitchは本当に無料ですか?
はい。Ink/StitchはGNU GPLバージョン3で公開されているオープンソースソフトで、有料版も書き出しの制限もありません。同じく無料のInkscapeが必要で、Windows、macOS、Linuxで動作します。
無料のソフトで写真を自動変換できますか?
制限なしでは無理です。Ink/StitchとEmbrilliance Expressは画像を自動変換しません。SewArtとHatchは自動変換できますが、無料なのは購入前の体験期間中だけです。ブラザーのArtspiraで写真から刺繍データを作るには、有料のArtspira+が必要です。
StitchMyPicは無料ですか?
プレビューは無料で、アカウントも不要です。刺繍データのダウンロードは1クレジット($4.99、パックやプランなら1デザインあたりさらにお得)で、新規アカウントには無料クレジットが1つ付きます。
ミシンメーカー純正のソフトが必要ですか?
いいえ。お使いのミシンの形式で書き出せるソフトならどれでも使えます。ブラザーとベビーロックはPES、ジャノメはJEF、業務用ミシンはDST、ベルニナはEXPです。形式の比較をご覧ください。
出典
このガイドの内容を確認する際に参照したメーカーのページと資料:

